138「片隅から」

6.8.mon./2009

★ロレンス

たまった新聞片っ端から読んでると、見落とすような片隅の記事に「あ!」「へぇ〜」のことが。で、今回はその「片隅から」のお話。

5月19日(1935年)は、アラビアのロレンスこと英国人将校トーマス・エドワード・ロレンスがバイク事故で亡くなった日。

音楽家の坂本龍一いわく「終戦から70年代までの四半世紀というのは、日本の歴史の中でも特別に自由な気風の時代。日本の近代の一番いい時代に育った」と、同世代の我輩がいつもお客サン方に述べているのと同様の発言を、これも新聞記事で読んだ。
その良き多感なときに友人Fくん推薦の、英国の若き新実存主義者コリン・ウイルソン著「アウトサイダー」(弱冠25歳で著した名著。無学歴ながらその博学さに圧倒。「続・アウトサイダー」と共に読んでみると作者の思想の変遷さがよく分かる)に取り上げられていた多様な人物のなかで、特に興味をひいたのがこのロレンスとロシア人ダンサーのニジンスキー。

当時、彼らの伝記などを買いあさった覚えがある。
バイクで事故死する場面から始まる映画「アラビアのロレンス」の主役ピーター・オトゥールなんてまさにその異彩さで適役だった。
で今回、その友人Fくんの話につなげようとしたのだが、長くなりそうなんでまたの機会に。

★マヨテン

5月26日、女流作家の栗本薫が死去。56歳。すい臓がん。

通称「まよてん」で知られ、一部中年女性層の愛読書と後に知った彼女の著書「真夜中の天使」は、その類の小説(読めば分かる)と知らずに読み始め、意外な面白さにその年の我が読書本ベスト1に。
先日古本屋で新装版文庫本全3巻を目にし手にとってみたところ、かつての地味な表紙に比べてのあからさまなイラスト表紙。「これじゃまともな男は買わんわなぁ。わしもふくめて」。でも、これ傑作本です。

★サリンジャー

まだ存命!と驚いたのが、「続編提訴」の記事の主役。

これは10代のころにファンだったサリンジャーの記事。
数冊の著作を出して後に隠遁生活に入ってしまい、近年「サリンジャーを探して」(買ったけど未読)なんて本まで出された彼、現在90歳だそうな。
代表作「ライ麦畑でつかまえて」の続編(第三者による)が米国でこの秋発売とか。その本「60年後 ライ麦畑を通り抜け」の出版差し止めを求めたそうだ。そら怒るわなぁ。読んでみたいけど・・・。

★マスク

インフルエンザ狂想曲も終焉を迎えた。

米国では政府が率先して「マスクには効力がない」と断言。テレビ番組の「そこまでいって委員会」でも、元保健所所長が「マスクもウガイもムダ」と言い切っているのに(司会者いわく「そんなん言うてウガイ薬の会社、大丈夫かいな」)、兵庫の調査では85%の市民がマスク着用という調査結果。
そのうちなんと45%の人々が「マスクをしていなかったら白い目でみられそうで・・・」が着用理由。

恐るべし「連れもて行こら」のニッポン人気質。まさに狂想曲やなぁ、とバカにしてる我輩だけれど、凶毒性のインフルエンザ発生だとやっぱしマスク、してしまうかも・・・。

これに似た話で(似てないか?)、サラリーマン時代の帰宅途中、夜空に閃光が!その光が大きく円を描いてサーッと流れ・・・一瞬「円盤!?」と思いきや・・・しばし眺めて判明。
後日、新聞の片隅に「市民から百数十件の問い合わせ」とあり、「あ〜、わしよりアホが百数十人もおるんや」と、なんとなく安心したことが。
(その閃光は当日オープンしたパチンコ店のサーチライトが曇り空に反射してただけ・・・)。

★ヤクザ屋サン

上記と同様の(同様じゃないか?)笑える話が。行きつけの銭湯でのこと。
夕刻のある時間帯、入れ墨のヤーさん群に出くわしてしまう。狭い湯船にその方々三人も入っていると、これはなかなか堅気の人は割り込めぬ雰囲気。
おまけにその方々の子供さんなんてのがいらっしゃると、湯船に飛び込まれたり洗い場走り回られたり・・・もちろんその方々、ご注意なんてなさいません。

で、その時間帯は避けるようにしてたんだけど(彼らのクルマが路駐されてるので存在がわかる)、避けて訪れる時間の余裕がなくって・・・で、仕方なく脱衣場に入ると、肩だけに入れ墨したお兄さんが裸で浴室出入り口に立ちはだかっている。「?」と思ってると、中から幹部らしき全身入れ墨の方が後に子分ふたりを従え出て来た。
で、肩入れ墨のお兄さん、サッとタバコ差出しライターでカシャと火を・・・。
裸同士のそのやりとり横目でみてると(横目ちゅうんが現実的?)、「なんや、380円の銭湯で大層やなぁ。恥ずかしないんやろか」と思わず笑ってしまいそうで。笑わんで、よかったけど。

余談:墨丸常連サンの親戚筋に山口百恵がいらっしゃいます。で、その親戚筋の若き娘さんが何を思ったか本式の入れ墨をされたそうだ。
その娘さん、スーパー温泉で頭を洗ってる最中に、係員に泡だらけのまま連れ出されたとか。
その話を聞いて、「この入れ墨の男性の方々を浴室から連れ出す係員がいるとしたらスッゴイなぁ〜」と、我が妻リ・フジンの精神的暴力に帰宅拒否症に陥っている我輩などは、なぜかその妄想に感激してしまっていた・・・。

「片隅から」完

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