240 「’12年、哀しき正月」

★おめでとう!

みなさま、明けましておめでとうございます。
今年も酒場墨丸、ぜひご贔屓のほどよろしくお願い申し上げます(ホンマに)

さて、年末から年始にかけ朝方まで営業ののち、午後3時から8時過ぎまで年賀状の作成。
1日(日)夜間投函しました。
新年早々、ご到着遅くなり申し訳ございません(ま、このスローテンポは毎度のことですけど)
年賀状未到着の会員さんはお申し出を。転宅等で毎回返送分多々ございますゆえ。

★哀しき正月

そして1日、午後10時頃、一年ぶりに帰宅(!)
その途中、地元なじみの「焼き鳥まるきよ」か「旬菜食堂あ。」に立ち寄り、地元在住の常連顧客М先生やYさんにお声をかけ、できれば新年ご挨拶をと思いきや、すべてのお店、正月休み(ま、そやね)

仕方なく自宅帰り着くとすでに皆寝入っており(といっても老母と我が妻リ・フジン)、新年早々我輩「太平洋ひとりぼっち」的な正月の夜に。
さらに、一年ぶりともなると台所の、洗面所のそれら電灯スイッチ位置が、「???」。歯磨きブラシも、ない?

かつ、当初我がセンスによる絶妙なる家具配置も何を基準にリ・フジンめ、勝手に配置換えしたのか、我が家ながら(我が家か?)「落ち着かん・・・」

さてさて、こんなわびしい正月ならばと我孫子までUターン、どこか居酒屋で新年祝って一人酒。そのあと新年オープン準備でもとふと魔が差したけれど(帰宅したのが魔が差したのかも)、一年に一度しか帰れぬほどの長距離、これまたなんの展望希望もなくふたたび車を走らせるなど、もうできはしなかった・・・。

コタツ暖めつつ、明夜の親戚集まる宴会用ボトルの中から麦焼酎選び出し、さてアテは・・・。
今夜は帰らぬという末っ子用に用意されてたカレー、そして保温しすぎのカバカバの白米あったけれど、帰宅途上でココイチカレー食したばかり(食べてきてよかった・・・)
冷蔵庫開けると目に飛び込んだのは「白菜キムチ」、その新品がふた瓶も。
我が妻リ・フジン、韓流ドラマにはまって以来、かつて我が家の食卓ではその異様な匂いゆえ邪道の食べ物として一切買わず、置かず、食べずの三原則固持のそれがいつしか崩壊。冷蔵庫内占めるはめになりはてて、リ・フジンよ「帰れ、釜山港へ!」♪と大和男は叫びたい(ちなみに彼女は半島系ではない。南洋人食い人種系だ)。
でもいまからなにかしら調理するのもわずらわしく、そのひと瓶の封帯、我が人生初めて切る。広がるいまわしき邪道の匂い・・・。

テレビでもみようか。
すると、いつしか我が家のそれはデジタルのそれに代わっており、操作方法「???。なんでチャンネル変われへんねん!」(音量ボタン押し続けてた)
と気づいたのが、前回「昭和の遺物、ビデオデッキ」云々記したけれど、そのHDD搭載のデジタルテレビ置かれた台に、あるはずのそのビデオデッキがない。
別室のテレビも代わっていて、そこにもあるはずのビデオデッキも、ない。
もう手に入らぬであろうビデオデッキそれらが、二台すべてが、ない。

廃棄?
かつてリ・フジン、ガレージに保管していた新品に近いパッケージ入りワープロ廃棄してしまった前科もあり(知らぬうちに何を捨ててるやら。あ、わしも捨てられてるんだった・・・)、ならば、倉庫にあるあの膨大な傑作作品録画ビデオテープ、やはり子宮で物を考えるのか異人女子、それらの今後をどう・・・?我輩、少なくとも子宮では物事考えられぬゆえこれはもう理解不能。
かつ、サルでも反省するというのにワープロ事件の際も反省の欠けらもなかったリ・フジンゆえに(この反省も子宮でか?)、このデッキ事件はその後、本人に問いただしその返答知るのも恐ろしく、我輩いまもって口に出せぬままである。

こうしてこの夜、デッキの代わりに詰め込まれていた韓流ドラマDVD群、その操作方法も分からぬデジタルテレビでみる気力も皆無となりはてたのであった・・・。

で、民放放映の「スクリーム3」垂れ流ししつつ(なにか「音」がなければもう孤独感で狂いそう)、墨丸会員734号チャン氏に「これは絶対マスター好み!ボクは好みじゃないけれど」といわれ、めでたい(はずの)正月に読み始めようと決めていた「冷たい校舎の時は止まる」(辻村深月。講談社文庫)のページを開く・・・。

★「冷たい校舎の時は止まる」

2日(月)
酒の酔いでウトウトと一時したけれど、ほぼ一晩で上巻読了してしまった。
・・・してしまったのだ。まさか一晩で読み終えてしまうとは露とも思わず、下巻は店だった・・・。
前回、乾くるみの「Jの神話」でけなしてしまった「メフィスト賞」の、本作はその受賞作にして(この賞、見直した。単純)、辻村さんデビュー作。
一巻六百頁近いその分厚さに少々恐れをなしたが(彼女の作品はどれも分厚い)、これには冒頭より引き込まれ・・・。

大雪の朝、高校に登校した男女生徒8人。
始業間近となっても誰も登校してこない。
職員室にも誰もいない。
そして気づく。その校舎から出られなくなっていることに・・・。
これは楳図かずおの傑作漫画「漂流教室」の現代版小説でもあるなぁ。下巻展開に大いに期待。

夜、酒宴。

★三が日は

3日(火)
仕事始めのこの夜、異常にヒマ。
過去履歴調べてみると、昨年も同様。
というのは、去年もこの日々は週末外。
ということは明日から仕事の方が多いわけで、ヒマなのも当たり前か。
来年はまたしても平日ゆえ、俺はもう休むぞ、一年先の三が日!
それを楽しみに生き抜こう!

★その後の「時計仕掛けのオレンジの悪夢」

4日(水)
一ヶ月ぶりの労災病院眼科行。
この顛末記した「時計仕掛けのオレンジの悪夢」シリーズ、女性のお客さんお二人各々「恐くって途中で読むのやめたわぁ」
面白おかしく書いたつもりなんやけど・・・。

で、今回。
正月明けゆえか、眼科待合室はいつもの半分以下の人数。
10月から通い始めてもう本日などは平常心。
レーザー治療のあの痛みさえ懐かしい(マジか?マゾか?)

診察室にて。
あの若輩センセ「異常ありませんか?」「はい」「落ち着いているようなので次回からは近所の眼科で定期的に診察受けてください」「え〜、ここじゃだめなんですか?」(といえるほどの心境なり。ま、診療代安いのも助かるんで)「ここは手一杯なんですよ、よほどの症状じゃないと」

ゆえに次回は、この出来事発端の個人医院じゃなく(検査して作ったメガネレンズ、合わない気がして診察料3千円余りも払って再検査。でも「合ってます」。しかしながら労災では「合ってないですね」ゆえ)、墨丸会員829号Iくんに教えていただいたとある女医さんの医院にいきま〜す。
ボク、女医さんならもう痛いのもなんでもガマン、できそう。

今年からは、空気のごとく煙草を吸い、水の代わりに酒をくらい、そして寝起きの体調思い知るたびに、「ああ、こんなんじゃアカン。いつ死んでもおかしゅうない」との思いなくすように祈念、じゃない、減らすようにしよう今年は!
ホンマは煙草だけは止めるつもりだったけれど、気づいたら1日から吸っていた・・・。

★ふたたび「冷たい校舎の時は止まる」

9日(月)
下巻読了。
5日以降少々忙しく、ようやく読み終えました。
我輩など「謎の集団失踪事件」に興味あるほうなので(D・R・クーンツ初期傑作「ファントム」はこのテーマでオススメ)、本作は好みかつ作者20代そこそこにしての各登場人物造形描写の深さにも瞠目。
でもサトちゃんの再登場、榊くんの退職の点が心に残り、おまけの評価5/5。

★「今夜の本!」etc

「鬼子母神」(安東能明。幻冬社文庫)
異常な女を主人公にした傑作「リカ」(五十嵐貴久)、「黒い家」(貴志祐介)に並ぶ、これは佳作か。ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。
MSBPの虐待症例(この言葉、調べず知らずに読まれたほうがよい)を先取りしている点でも評価。4/5。

「太陽の塔」(森見登美彦。新潮文庫)
豊かなボキャブラリー駆使しての「文士的な語り口」が新鮮な、男子大学生の失恋小説!4/5。

「夜は短し歩けよ乙女」(森見登美彦。角川文庫)
山本周五郎賞、本屋大賞受賞作の恋愛小説ながら、このファンタジックさにはついて行けず。2/5。

「'12年、悲しき正月」完

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