404「今夜の本!」4/2018のベストは?

5.13.sun/2018

★「今夜の本!」

ガジュ丸評価基準。
5「傑作」4「秀作」3.5「佳作」3「普通」2「凡作」1「駄作」。NF=ノンフィクション ※=再読作品。

01.「廓祝言」南原幹雄/旺文社文庫/3.0
02.「満願」米澤穂信/新潮文庫/3.5 「山本周五郎賞」etc
03.「愛の衝撃」村田基/ハヤカワ文庫/3.5
04.「響宴」高橋昌男/新潮文庫/3.0
05.「花宵道中」宮本あや子/新潮文庫/3.5 「R-18文学賞」

★「期待作!」

「山本周五郎賞」「直木賞候補」「ミステリが読みたい! 国内編1位」「週刊文春ミステリーベスト10 国内部門1位」「このミステリーがすごい! 国内編1位」「本屋大賞7位」・・・とくれば誰しもが「期待」するであろう米澤穂信の「満願」
が、これはミステリー6編の短編集・・・以前も記したけれど、長寿番組「世にも奇妙な物語」を観て堪能した後日、もうその内容ほとんど忘れているのと同様なのだ、短編集は。それゆえの、堪能できるが「佳作」止まりに。いや我輩、ミステリー小説自体が好みではないせいなのかもしれない。

★「寸評!」

奇しくも今月は「廓祝言」(副題に「心中浮世草紙」とあるように、江戸を舞台にした心中話8篇)、「愛の衝撃」(日常生活に潜む、狂気をはらんだ愛を描いた11編)と、短編集が続いていた。
そのなかで「響宴」は日経新聞連載小説だった大作。40代夫婦の破局とそれぞれの不倫相手との新たな出発を描いている。が、中産階級の美男美女の話となるともう世界が違いすぎて・・・日経やなぁ。

★「ガジュ丸賞!」

で、最後に手にとった宮本あや子「花宵道中」目次みて、「これも短編集かよ・・・」と、残り少ない日々で今月の「ガジュ丸賞」作品探さねばと焦った。

が、江戸吉原「山田屋」の6人の女郎たちの半生がひとつながりの物語として読める連作短編集だと判明。そうとは知らず、一話目での脇役女郎が次章で主人公として登場し、あわてて最初から読み直した次第。
女性による女性を主人公とした性がテーマのRー18文学賞ゆえ(現在は「性」の垣根を外した賞らしい)、また女郎が主人公ゆえ官能描写あるもののそれが自然な流れですんなり受け入れられるのもいい。
先の昭和13年生まれの南原幹雄による同テーマの、取ってつけたような濡れ場が鼻につく「廓祝言」より昭和51年生まれの宮本あや子の緻密な時代描写にも引き込まれてしまった。ま、不幸な女たちの感涙を誘う描写に少々物足らなさ感じたけれど・・・。
「後朝の別れを惜しむ遊女と」の「後朝(きぬぎぬ)」なんて言葉も恥ずかしながら本書で初めて知った。男女が会って一夜を明かした翌朝のことなんですと。

「今夜の本!」4/2018 完

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