426「24時間戦えますか!」閑話休題(白い小さな羽虫)

8.30.thu/2018

この連載中、こんなことが・・・

★白い小さな羽虫

その夜、座卓の上を白い小さな羽虫が一匹だけ動き回っていた。
直径15センチほどの範囲内をグルグルと。
その小ささゆえ網戸の網目から入ってきたんかと思えるほどの小物。
この夏、深夜に録画映画観ていると、時々その羽虫が飛び回っているのに気づいてはいた。

幼い頃、小さなアリを殺しまくってしまった話は以前したことがあるけれど、物心ついてからは歩行中でも彼らを踏み潰さぬよう気をつけるやさしい大人に変貌し、殺すのはゴキブリと蚊だけに。ムカデは大きすぎてまさに殺すという実感あるゆえ殺虫には至らず、外へと掃き出している(気が弱いだけやん・・・)。

先日、ムカデ撃退殺虫剤ってスプレー缶が我が家にあるのを見つけた。
「なんでこんなモンわざわざ買うねん、アースで充分やろ」と我が妻リ・フジンこと山椒太夫に諭すと、「ソレ、お義母さんが持っててん」と。
女は天性の嘘つきゆえ、こうしてなんでも施設にいる母のせいにされてもやさしい大人となった我輩、エデンの園でイブに禁断の木の実喰わされたアダムの血脈の大人になってもいて、いつもコロリと騙され・・・と、コレ記しているいま、「またアレ、ウソやったんちゃうか」と疑心暗鬼・・・。

益虫ゆえ蜘蛛も殺さない。
が、リ・フジンこと山椒太夫など「ギャッ」とアース持ち出して(クモ殺虫専用スプレーでないだけマシ)、我輩敢然とアースの前に立ちふさがっている。ゆえに我が家には手のひらほどの巨大クモが少なくとも2、3匹は生息している。
家屋が山の中ゆえか、カメムシも網戸にへばりついている。
幼い頃にその異様な臭気にへきへきしたものだけど、最近「どんな臭いやったかなぁ」と、あの臭気を再確認したい欲求にかられて少し困っている。が、これも殺したりはしていない。

けれど酔ってる時など、座卓上のあまりのその羽虫の多さに(数匹やけど)かすかな罪悪感抱きつつ、ティッシュでサァ〜っとひと拭き、一掃してしまったこともある。そうしても天井の蛍光灯から舞い降りて、また座卓に。で、2、3回そうした殲滅作戦繰り返すと罪悪感というのもなくなるもので・・・それでまた、我輩ってイヤな生き物やな、女の次にと思ってしまうのは、女に対する罪悪感じゃなくって羽虫に対して。念のため。

★続・白い小さな羽虫

で先夜、酒呑みながら録画映画観ている我輩とテレビの中間にある目前の座卓に、白い小さなその羽虫が一匹だけ動き回っているのに気づいたわけ。
いつもと違う種なのか、妙に気ぜわしい動き方。映画を観ているから目前のそのセカセカした動きが気になって仕方がない。たったソレだけのささいなことででもかつての白人はインデアンや黒人殺戮したんだろうけど、黄色人種の我輩もつい手元のテレビ欄新聞をそやつの上にかぶせ、平手でパン!

・・・なのにそやつ、新聞の下からスッと現れ、何事もなかったように座卓の上をぐるぐる走り回っている。で、ふたたび新聞かぶせ、そやつのいる辺りを平手でパン!あ、また逃げ出してきた。
新聞広げて(意味ないように思えるけど、薄くしてのパン圧力と脱出路ふせぐため)、パン!・・・新聞と座卓の隙間からまたまた出てきてグルグル、グルグル。
オーストラリア原住民アボリジニ虐殺は20世紀半ばまで続き、600万人が30万人になってしまったというけれど、我輩にもだんだん原始的殺戮本能が白人並みに芽生えてしまって、パンッ!パンッ!バシ!バシ!

★墨丸マジック

・・・あれ、また出てきた?新聞の下から。
たがが黄色人種のあなたのことなど我が人生(虫生)に関わりございません、怖いのは白人だけですとばかりに。
黄色人種的殺戮兵器「新聞」やめて、指でつまもうとした。ン?つまめれへん?またしてみた。つまめれへん!
・・・こいつ、天使の化身か?この世のものではないンちゃうか?
それで一瞬酔いが冷めたのか、我が脳裏にひらめいた。そうかぁ、そうやったんか!

さてここで墨丸営業中ならばカウンターで、もう閉店時間とっくに過ぎてンのに帰ろうともしてくれないあなたに、「この墨丸マジックの世界、解明できればバーボン一杯プレゼント。ハズレならもう帰って・・・」だ。

★答え

バカみたいだけど(バカやけど)、座卓天板はガラス板。どうもいつもと違うせわしない動きと思っていたら、そやつ、ガラス裏面走り回ってたンだった。
・・・かしこい人間まんまと騙してくれた脳みそもないほどの羽虫よ、天板に上がってきたらアカンで。もう殺す気なくなったけど・・・。閑話休題!

「24時間戦えますか!」本編につづく

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